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終活
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終活をはじめたいのですが、タイミングや方法が分かりません。終活の時期や手順について教えてください。

今や誰もが耳にしたことのある「終活」。
万が一のときに遺される家族になるべく負担をかけたくないと、多くの方が一度は終活について考えた経験があるのではないでしょうか。

ですが、いざ終活をはじめようとしても、いつまでに行えば良いのか、具体的にどんなことをすれば良いのかが分からず、一歩を踏み出せないという声も耳にします。

ここでは、終活の基礎知識やベストなタイミング、具体的な終活の進め方を解説していきます。

終活とは?

終活とは、元気なうちに自分の「死」と向き合って、自分が望む最期を迎えられるように準備をする活動のことです。

年齢を重ねるにつれ、多くの人が老後の生き方や自分の最期について考えるようになります。
終活は、老後の不安や心配事を解消して、自分の人生の終え方をポジティブに捉えようという活動です。

終活のベストなタイミングとは

終活をはじめるタイミングは、老後に限ったものではありません。
いつでもはじめることができますが、以下のようなタイミングで取りかかるのも良いでしょう。

定年を迎えたとき

人生の大きな節目となる定年退職。退職後は時間に余裕も生まれるため、終活をはじめるのに適しています。
ほかにも、年金の受け取り開始年齢も節目として考えられます。

身近な人が亡くなったとき

配偶者や親族など、身近にいる人が亡くなったとき、死後の手続きなどを体験して終活の大切さを意識する方も多いようです。
また、同年代の身近な人が亡くなった時にも自分の死を意識することが多く、終活をはじめるという方もいます。

大病を患った時

「大きなケガや病気で入院した」などの経験も、終活のきっかけになりやすいものです。
また、病気をすると気弱になる傾向もあり、死への意識から遺された家族のためにと終活をはじめる方がいます。

思い立ったタイミング

死は、病気や老いに関係なく突然訪れることもあります。年齢で考えるのではなく、自分が思い立ったタイミングではじめるのもベストです。早ければ早いほど気持ちに余裕が生まれますし、ゆとりを持って自分らしい終活ができるようになります。

終活のメリット

「家族に迷惑をかけずに人生を終えたい」という思いからはじまる終活は、自分が納得するための行動、いわゆる「自己満足」に捉えられがちです。
ですが、終活をしておくとさまざまなメリットを得られます。

死後も自分の意志を貫ける

終活で準備を整えておけば、死後も意志を全うできます。例えば葬儀に対する意志では、「みんなを呼んで盛大に送り出してほしい」「家族だけでひっそりと行いたい」など、希望は人それぞれです。
エンディングノートに葬儀に関する希望を記しておけば、自分の思い通りの葬儀ができますし、生前の意志を遂行できます。

家族に安心してもらえる

財産を整理しておく、お墓を用意しておくなど準備をしておけば、自分の死後、遺された家族に負担をかけずに済みます。
生前に自分の希望する形式やプランで葬儀社と契約を結んでおけば、葬儀の際の負担も最小限で済みますし、「本人の希望通りに送ってあげられる」と家族の安心にも繋がります。

今後の生き方を見つめ直せる

終活は、自分のこれまでの人生や生き方について、あらためて振り返って考える機会になります。
それは同時に、死だけでなく、この先の未来やこれからの過ごし方、自分の生き方について見つめ直すきっかけにもなるのです。
死ぬまでにやっておきたいことや希望の過ごし方について考えられるようになるので、これからの過ごし方が、いっそう味わい深いものになります。

終活の進め方

終活をはじめるのに、これといって決まったルールや段取りはありません。
自由な順番ではじめて良いのですが、以下のような進め方だと取り掛かりやすいです。

1.エンディングノートを準備する

まずは、エンディングノートを入手しましょう。
エンディングノートとは、万が一に備えて自分の情報や自分の意志、想いなどを書き留めておくノートです。
介護や医療、葬儀、墓、相続など、自分の意志や希望をしたためておくことで、もしものときに家族や周囲の人に考えを示すことができます。

最近では書店や文房具店などでさまざまなタイプのエンディングノートが販売されているほか、無料で配布されていることもあります。
実際に手に取って、自分が使いやすそうなノートを購入すると良いでしょう。
エンディングノートでは、具体的に下記のような項目を書いていきます。

自分の情報

まず、自分の氏名や生年月日、現住所、本籍地、血液型などの基本情報を記入していきます。
これらの情報は、自分の死後に住民票の抹消届を提出する際や、年金受給停止手続きなどを行う際に必要となります。

これまでの自分の人生を振り返る目的でエンディングノートをはじめるなら、自分の趣味や好きなこと、好きな食べ物、思い入れのある場所、よく利用していたお店などの情報をまとめておくのも良いでしょう。

連絡先リスト

自分が突然倒れたとき、亡くなったときに葬儀に呼んでほしい知人や知らせて欲しい親戚などの住所や電話番号です。
「倒れたとき」「葬儀に呼んでほしいとき」など、項目を訳てリストアップしておくと、読む人に伝わりやすくなります。

財産リスト

自分が亡くなった後に家族や関係者が一から財産情報を調べるとなると、大変な手間と時間がかかります。

どの銀行に預金口座がある、どんな保険に入っている、不動産や株を所持していて、どの証券会社に担当者がいるなどの財産情報を、細かく記しておきましょう。
ゴルフ会員権や骨董品などを所持している場合も、資産価値をまとめておくと良いでしょう。

借金の有無

ローンや借金がどれほど残っているかなども、忘れず記入します。
終活を機に、負債はなるべく早いうちに返済しておくのもおすすめです。
逆に、人に貸しているお金がある場合には、貸した人物の名前や連絡先、金額などの情報も記載しておいてください。

PC・スマホのパスワード

パソコンや携帯電話、スマートフォンなどを持っているなら、暗証番号やパスワードをまとめておきましょう。

SNSのアカウントや利用しているメールアドレス・パスワードがあれば、こちらも忘れずに書き留めておきます。

葬儀や納骨、埋葬に関する希望

自分の死後、喪主を任せたい人や納骨・埋葬場所の希望、希望する葬儀場・墓の情報などもまとめておきます。

2.遺言書を作成する

エンディングノートはあくまでも家族や周囲に自分の意志を伝えるツールであって、法的効力はありません。

財産を自分の希望する人に渡したい、相続人同士にお金のことで争ってほしくないといった場合には、遺産の分け方に法的効力を持たせる遺言書を作成しましょう。

遺言書は、公証人役場での作成が必要です。
遺言の方法には、「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3タイプがあるので、自身に合った遺言書を作成してください。

3.物の整理をしておく

自分の死後、家族に負担をかけやすい代表的な困りごとが「遺品整理」です。
あまりにも物が多すぎて遺族での整理が追いつかないと、専門業者に整理を依頼することになり、費用がかかってしまいます。

家じゅうにある物の「断捨離」を行って、要らないものはなるべく処分するようにましょう。

どうしても物を捨てられない、整理できない方は、自分が元気なうちにプロに依頼して、整理を手伝ってもらうことをおすすめします。

また、最近では「デジタル終活」も増えてきています。
パソコンやスマホなどに保存中のデータのうち、不要なデータはできるだけ削除しておきましょう。
写真や動画など家族に残したいデータなどがあれば、USBやSDなどの記憶媒体やクラウド上に保存しておくことをおすすめします。

4.介護施設や墓・霊園情報を入手しておく

自分が認知症や寝たきりで介護が必要になった際、どんな施設に入りたいかを今のうちに決めておくと、周囲や家族が手配しやすくなります。

気になる介護施設や霊園があれば、見学へ行って話を聞いてみると良いでしょう。気に入ったお墓があれば、事前に購入しておくのも良いかもしれません。

最近では葬儀の生前契約ができる葬儀社も多いので、前もって準備しておけば葬儀の費用面でも家族に安心してもらえます。

終活でこれからの人生をポジティブに

終活は、多くの方が家族や周囲に負担や迷惑をかけないためにと行いますが、最も大切なのは自分のこれからの人生です。

自分の人生を振り返って、残された時間をよりポジティブに生きるためにも役立つことを忘れないでください。

自分の人生で、まだやり残していることはないでしょうか?これから叶えたい夢はありますか?

現役時代は仕事ばかりで思うままに趣味や旅行ができなかった方も、これからは余裕を持って楽しめます。
子供や孫とともに、幸せな時間を過ごすのも良いでしょう。

終活は、先の不安や心配ごとを小さくしつつ、残された人生をよりポジティブに楽しむために自分を見つめ直せる時間です。

人生をより豊かに過ごすための準備活動として、自分にできることからはじめてみてはいかがでしょうか。